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Primeビデオ『舟を編む』:紙媒体の辞書には未来は無いのだろうか?

Primeビデオ『舟を編む』

辞典制作現場の極めて地味な物語です。
アマゾンPrimeタイトルを検索しながら見つけました。
この映画を映画館やレンタルショップで見かけたとしても視聴しなかったと断言できます。
そのぐらい地味な雰囲気のあるタイトルでした。

辞書作りに15年の歳月を要すること・・・・
改訂作業を考えれば編集者にとっては一生ものの仕事であること・・・・
あまりにも地味で膨大な手間暇がかかること・・・・・
どんなに校正をかけてもミスが起こること・・・・
制作過程でさえ用語の意味が変化しかねないこと・・・・
日々新語を造られ、死語と呼ばれる言葉が淘汰されていくこと・・・
デジタルの波に押されて紙媒体の辞書の存在が危ういこと・・・・

デジタルならば容量に原則として制限がありません。
いくらでも用例を用意することが出来ます。
追加・訂正もクラウド上ならば一瞬で行うことが出来ます。
時代の変化にも瞬時に対応できます。
制作コストも紙媒体よりも遙かに安く、在庫リスクもありません。
単語によっては写真や動画、場合によっては音源を提示した方が正確に伝わることでしょう。

私は極めて近い将来にガソリン車が姿を消すと思っています。
それは電気自動車の普及でガソリンスタンドが閉鎖され続け、ガソリンを簡単に手に入れられなく日が来ると思っているからです。
スタンドの閉鎖と電気自動車への移行は、それこそ津波のような勢いで訪れるでしょう。

同じことが紙媒体の辞典にも起こると思います。
出版社が初版を印刷するコストをペイ出来なくなると想定したら・・・・

私は母親の国語辞典を小学生の時に引き継ぎ、大学まで使っていました。
一度引いた単語は、なんとなく分かります。
紙媒体には手作業が伴いますので、おそらく脳への刺激が異なるものになるのでしょう。
辞書を引くという作業は意外と愉しいものでした。

これからの時代、紙媒体の辞書は古本屋さんにしか存在しなくなるかもしれません。

つまり改訂されないと云うことです。
残念ですが仕方の無いことですね。

デジタルには未来があります。
どのようなデバイスが登場するのか楽しみでもあります。

その上で私は紙媒体の時代を過ごせたことを幸運だと思います。

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