本レビュー

『不思議な生き物』を読んで好奇心を刺激されました!

久々にワクワクする理科の本を読みました。

専門用語が頻繁に出ては来ますが、学術書と違い大変読みやすい本です。

小学生のお子さんでも、分からない所を飛ばしながら読めば理科への好奇心が芽生えると思います。

学校の授業も好奇心を刺激する内容を取り入れるべきだと思っています。

時間とは何かを尋ねられなければ、誰でも知っている。

しかし、時間とは何かと尋ねられると誰もそれを知らない。
アウグスティヌス

知っていそうで知らない事

分かっているつもりが違っていること

学校で習ったことが覆された事実

そんな生き物の世界を楽しく学べる本です。

ネーミングの面白さ

トゲトゲというムシがいるそうです。

最初にトゲのある状態のハムシの仲間が発見されました。

そこでトゲトゲと命名されます。

ところがトゲのないトゲトゲが発見されます。

名前には特徴を表すことが多いようでトゲナシトゲトゲと命名されます。

さらにトゲナシトゲトゲにトゲのある種が発見されます。

ややこしいです。

トゲトゲではないそうです。

そこでトゲアリトゲナシトゲトゲと命名されます。

ここで終わらないのが面白いのですが、トゲアリトゲナシトゲトゲの仲間にトゲがない種が発見されます。

必然的にトゲナシトゲアリトゲナシトゲトゲト命名されます。

この話のややこしいところは、もし、とげのないハムシが先に発見されていれば、トゲトゲから名前がスタートしなかったと言うことです。

動物と植物の起源

動物と植物はどちらが先に発生したと思いますか?

現在の知見では動物が先だそうです。

シアノバクテリアという真正細菌が、光合成を行いました。

それまでは光や酸素は生命にとって有害だったと思われます。

海中からあふれ出した酸素が大気をつくりその中で生きていける生命体に進化するために酸素呼吸細菌(ミトコンドリアの元)を体内に取り込んだのが動物の祖先です。

ミトコンドリアと葉緑体の元になったシアノバクテリアの双方が入り込んだ生き物が最終的に植物になったようです。

動物と植物を分けたのは葉緑体の元になったシアノバクテリアだけだったわけです。

将来、植物にも意思があることが証明される日が来るかもしれません。

ワシントン条約の矛盾

種の保存のために結ばれたワシントン条約

しかし、商業目的の売買を禁じると、森林伐採がおこってしまいます。

結果、動植物の生存域が失われてしまうそうです。

また、稀少動植物種に指定されると標本や生体の一切の売買が出来なくなるそうです。

指定されなければ繁殖者による飼育品の売買が可能だそうです。

飼育品ならば生態系に影響を与えませんので種の保存が図れます。

動植物園などが行っている繁殖などもこれにあたると思います。

よかれと思って制定されたワシントン条約が希少種を絶滅に追い込んでいる実体があるようです。

全く知りませんでした。

お腹の調子を整える究極の方法

お腹の調子が悪い時の究極の治療法

一番調子の良いときの便を超低温保存しておき、調子が悪くなったら解凍して肛門から入れ戻すことだそうです。

以前自分の排尿したばかりの尿を飲む健康法が紹介されていました。

排尿したての尿は雑菌がなく、カラダに必要な成分が豊富だそうです。

我々は過剰に栄養を摂取している

そして栄養を体内に摂取できずに排出する割合が高い

尿素という体内で生成される人類史上重要な成分があります。

アンモニアは人体に有害です。

それを無害化して老廃物として体内に蓄積しています。

一部は筋肉にも蓄えられます。

日本で暮らしているアフリカの方が、自分の尿を飲んでいると話しておられました。

水の貴重な地域では、それこそ宇宙でも、尿は大事な水分になり得るようです。

自分の身体は自分で治す

自然治癒の観点からも排泄物の研究が進んでいるのかも知れません。

昆虫の多様性を支える習性

昆虫類は食性が非常に狭い傾向にあるそうです。

従って、大規模な移動はしないようです。

ところが人間が食物の分布を地球規模で広げた結果、モンシロチョウはヨーロッパから世界中にキャベツやレタスとともに広まって生息域を広げました。

沖縄などはつい最近生息を始めたようです。

アゲハ蝶の幼虫はミカン類の葉っぱしか食べません。
隣にツツジがあっても食べずに柑橘類の葉ががなければ死んでしまいます。

食べるものの種類を限定することで棲み分けを行っているようです。

農薬の危険性

ネオ二コチノイド系農薬がミツバチの帰巣本能を狂わしているようです。

フランスでは2006年から使用禁止されていますが日本ではまだ行われていません。

ミツバチは大切な自然界の共生者です。

水田中の赤とんぼの幼虫を全て殺してしまうネオ二コチノイド系農薬は使用禁止にすべきだと思いました。

性別を決める要因

変温動物は卵の育つ温度環境でオス・メスが決まるそうです。

種族により異なり、ワニは高温でメス、低温でオスが生まれます。

カメは逆に高温でメス、低温でオスが生まれます。

また、性転換する多くの魚は、成魚に大量の雄性ホルモンや雌性ホルモンを投与すると簡単に性別が変わるらしいです。

その他にも環境スイッチ(例えばオスが不足したり)すると性転換がおこる種もあります。

我々恒温動物はSRY遺伝子によって性別が決まります。

この遺伝子は胎生7~8週間の間の1~2週間しか機能しない遺伝子です。

この期間だけSRY遺伝子をブロックすると完璧にメスになるそうです。

進化論の矛盾や遺伝子の話など

その他興味深い進化論の話や遺伝子の話が載っています。

進化論については宗教的見地からブログを書いてみたいと思います。

-本レビュー

© 2024 Light Reader Magazine